他人はもちろんのこと、家族との付き合いにさえも距離を置き、希薄な人間関係の中で日々の生活を送っていたふぶき。ある日会社の同僚である気弱な男・日影に結婚を前提とした交際を申し込まれるが、ふぶきはその申し出を断ってしまう。
「私、人殺しなんです…」
ふぶきは幼い頃の不幸な事故が原因で「自分は幸せになってはいけない」「自分にかかわる人は不幸な目に遭う」と強く思い込むようになっていたのだ。
ちょうど同じ頃、ふぶきの弟・大地が、同棲中の恋人・小春とともに無理やり家に押しかけてきてそのまま住み着いてしまう。次々と彼女に『かかわろう』とする人が現れるが、ふぶきはその心の闇から出てこようとしない。ふぶきが趣味で書いているお話の世界と現実の世界とがリンクし、互いに影響を与えながら物語は進行していく。
そんなある日、ふぶきの家に強盗が押し入り、助けようとした日影がナイフで刺されてしまう…。