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平凡ながらも幸せな結婚生活を送っている岩下正一とその妻・香苗。「自分はこの人に逢うために生まれてきたんだ」と信じて疑わない正一。しかし、結婚４年目を迎えたある日、香苗が病気により余命半年を宣告される。

あまりにも突然訪れた不幸を前にして茫然自失となる正一。が、その横では気丈に振舞おうとする香苗の姿があった。
そんな彼女が正一にある１つのお願いをする。

「これからお話を１つずつ書いて。私が死ぬまで毎日…」

正一は約束通りお話を書き、そしてそれを読み聞かせる日々を送り続ける。すべては最愛の妻・香苗のために。正一の書くお話の世界と２人が置かれた病室という名の現実の世界。

そしてその現実の世界は、残酷なまでに正確に時を刻み続けていくのであった…。